こんにちは。都筑区の放課後等デイサービスFORTUNAです。
今年も残り僅かとなりました。
この1年も子どもたちの成長のために、いろいろと発信をしてまいりました。若い職員たちにとっては、知識と現実のギャップに悩まされた1年だったかもしれません。
しかし、最初から上手くできる人やできることなどなく、失敗をして注意されたり、自分で勉強し考えることで自ら子どもたちへの良い療育を切り開くきっかけになったと思います。幸いなことに、FORTUNAには自分が出来もしないのに他人の批判や批評、文句を言うような職員はおらず、みな謙虚に勉強する、学ぶ姿勢をもった若い先生たちがたくさんいます。それができれば来年はさらにパワーアップすることでしょう。私も指導者として40年近く経ってしまいましたが、教育や療育を行なう先生や指導者には、知識だけではなく成功や失敗という経験が非常に大切だと思っています。この老人の私でも日々勉強しています。
さて本題に入りましょう。
発達面での困り事がある子どもたちの場合、社会情動的スキルとはどういった意味があるのでしょうか?また社会情動的スキルだけを学べば良いのでしょうか?
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもの場合
ASDは他者とのやりとりが苦手で、上手く人間関係を築くことに難しさが見られます。保育園や幼稚園、小学校に通い出すと同年齢の子どもたちと協調して遊んだり、協力して何かをするということがあまり上手くできないことがあります。また、こだわりが強かったり、考えや気持ちを上手に切り替えることができなかったりして、周りの状況に合わせて柔軟に自身の行動を調整することが難しかったりします。
他者への情動・協働・協調(社交性)やセルフコントロールのスキルに問題があると言えます。
注意欠如・多動症(ADHD)の子どもの場合
衝動的で抑えが効かず、注意が持続しないことがADHDの子どもの特徴です。特に集団においてや通常の生活場面において、自分の行動や感情を抑制したり、物事をやり通す(途中で投げ出さない)ことが難しいことがあり「目標の達成」スキルに困難が生じやすいタイプです。
脳科学の分野では、これらの力は抑制や注意のコントロール、計画性、実行機能の低下という言葉で説明されることもあります。
ここで「情動」についてもう一度簡単に説明します。
情動とは「感情」の一種であり、急激に生起し短期間で終始する反応振幅の大きい一過性の「感情状態」であるとされます。気分というのは、中長期的に緩やかに持続する「感情」とされています。
情動の起源における代表的な考え方には、ジェームズ・ランゲ説やキャノン・バード説などがありますが、ここでは割愛させて頂きます。
幼児期や学齢期(約小学校期)に見られる発達面の困り事は、直接的に社会情動的スキルの発達に影響がでてきます。そして、これらのスキル不足により、上手に人間関係を築くことができず、周囲(家庭環境、学校、放課後デイなどの施設など)から良い刺激を受けられない場合は、さらなる学びの機会を失ってしまうのです。特に家庭における子どもへの過干渉や過保護、事業所内での過剰な個別的な支援等は、将来的に厳しい現実の世界に入っていくための集団における社会性の学びや、最終的に子どもたちに自立を促すためにはマイナスに働くことも多くあると思います。子どもたちの社会的発達障害や困り事がある子どもたちでも早い段階で、その子どもたちに良い環境をつくり、そして社会的情動スキルを学べるような経験を多く積んでいくことが自立していくためには望まれるのです。
これら社会情動的スキルは「非認知的スキル」とも呼ばれています。それとは逆に読み書きなどの「認知的スキル」と呼ばれるものも子どもたちの発達においては重要で両方の機能の向上を図っていかなければ、困り事がある子どもたちのより良い成長は望めません。ソーシャルスキルとはこの2つから成り立っているともいえます。
そのためFORTUNAでは学齢期を迎えた就学児においてさまざまな困り事がある子どもたちのために、集団における社会情動的スキル(非認知的スキル)と共にこの認知的スキル向上を図るために小集団でコグニティブトレーニングも行っています。
認知発達全般に遅れがあり、それで適応に苦労している子どもたちはIQテストの結果も含め知的障害といわれる場合もあり、個別的な教育の対象となります。また、読み書きなど勉強面の部分的な苦手さで困っている子どもたちは学習障害とかディスレクシアという診断名がついたりしますが、どちらも認知的スキルの発達の問題であり、就学期のできるだけ早めの段階でこれらの困難に気づいてあげ、適切な支援が必要となってくるのです。
FORTUNAでは就学期前後の貴重な時間を大切にするために、認知的スキルと非認知的スキル(社会情動的スキル)の両方を学んでもらい成長してもらうことを前提に療育を行っているのです。
保護者の方からや他の事業所様でもSSTという言葉がよく聞かれますが、お友だち(他者)と仲良く遊んだり、外出したり、料理をすることがSSTと誤解されている所もあるような気がします。その活動自体はSSTの1つであることに変わりありませんが、その活動と子どもの将来における社会性の習得に結びつけての活動であるか?ということが大切なのです。ソーシャルスキルは実は奥が深いのです。
簡単ですがSSTについて説明を致しました。
FORTUNAでは、子どもたちの成長のためにいろいろなことを考えながらソーシャルスキルトレーニング(SST)について取り組んでいることがおわかりいただけたと思います。
これからも私たちの活動について、できるだけ説明をしながら発信をしていきたいと考えています。
放課後等デイサービス FORTUNA